奈良時代に始まった鎮護国家思想は仏教を発展させましたが平安時代に入ると逆にそのことが弊害となってしまうようになります。
そうした背景の中で生まれたのが平安仏教です。
今回は「平安仏教の概要・年号の覚え方(語呂合わせ)」についてご紹介します。
平安仏教とは?
平安仏教とは、平安時代に生まれた新しい仏教の総称です。
新しい仏教とは9世紀初頭に開かれた天台宗・真言宗に始まる密教と10世紀頃から広がり始めた浄土教のことです。
それでは平安仏教を見てみましょう。
①天台宗
開祖・最澄(伝教大師) 785年比叡山に延暦寺を創建。
教義は法華経を中心に密教・禅・戒律の四宗合一であり「総合仏教」とも呼ばれる。
後の鎌倉仏教も天台宗を学んだ人物が開祖になっている宗派が多数ある。
②真言宗
開祖・空海(弘法大師) 816年高野山に金剛峯寺を創建。
823年には嵯峨天皇より京都の教王護国寺(東寺)を賜る。
「三教指帰」(儒教・道教・仏教のうち仏教が優位とする考え)を説き密教を布教する。
③浄土教
開祖・円仁 天台宗の僧であった円仁が唐で浄土教を学び帰国、布教。
度重なる戦乱や災害で困窮を強いられていた庶民は既存の仏教の衰えを感じ、ついには世も末であるという末法思想が生まれる。
そこでこの世での仏教の習得が望めないのであれば死後に極楽浄土で教えを乞おうという考えの浄土教が支持され庶民を中心に全国に広まっていった。
*末法思想とは、仏滅から1000年を正法、次の1000年を像法、次の1万年を末法とし末法では仏の教えが間違って伝えられる(偽の教え)とする思想
*日本中を布教して回り「市聖(いちいひじり)」と呼ばれた空也や「往生要集」(浄土教のハウツー本)を書いた源信が有名である
天台宗は開祖・最澄の死後に円仁・円珍により密教化し「天密」と呼ばれるようになり、また真言宗は天密に対して「東密」と呼ばれました。
平安仏教の主流は初期の頃が天台宗・真言宗という密教であり中期以降はここに浄土教が加わりました。
【平安仏教の覚え方】簡単!おすすめ語呂合わせ 3選
平安仏教の語呂合わせ①
天才(天台宗・最澄)が真空(真言宗・空海)にした円状(円仁・浄土教)のアレ…。
アレがなにかは秘密です、密教ですから。
平安仏教の語呂合わせ②
天才(天台宗・最澄)が作った真空(真言宗・空海)の浄苑(浄土教・円仁)
浄苑とは墓地のことです。土地不足の日本、真空型墓地が開発されるかも?
平安仏教の語呂合わせ③
限界(源信)まで食う(空也)から炎上(円仁・浄土教)、往生(往生要集)したわ
大食いの動画をアップしたらマナーが悪くて炎上したようです。
以上、平安仏教の語呂合わせでした!
奈良仏教と平安仏教の違い
奈良仏教は国家との結びつきが強い仏教でした。
鎮護国家思想のもとで南都六宗が成立、国家と仏教が非常に密接な関係にありました。
仏教界はやがて政治に影響を与えるまでに力を持つようになります。
そのことを危惧していた桓武天皇は政教分離の必要から平安遷都の折に奈良仏教の寺院を新しい都に移転させませんでした。
また多くの僧侶を唐に送り仏教学を新たに学ばせました。
そうした背景の中で生まれたのが平安仏教と呼ばれる新しい仏教だったのです。
平城京を中心とした都市型の奈良仏教とは異なり平安仏教の寺院は主に山岳地帯に建てられ、また密教という最新の教えが唐から帰った僧によりもたらされます。