個人の体験・感想などを自由につづった文章を現代ではエッセーと言いますが、平安〜南北朝の時代には随筆と呼ばれていました。
中世の日本において発表された枕草子・方丈記・徒然草を「三大随筆」と言います。
今回はこの三大随筆の概要・覚え方についてご紹介します。
目次
三大随筆とは?
三大随筆とは、枕草子・方丈記・徒然草の3作品を指します。
①枕草子
(枕草子絵詞 出典:Wikipedia)
枕草子は清少納言により、1001年に完成した随筆と言われています。
作者の清少納言は、歌人として有名な清原元輔の娘で、中宮定子に仕えていました。
タイトルについては清少納言の命名ではなく、「清少納言記」「清少納言草子」などと記載されている文献も残っています。
内容は4つのパートから構成されていて、同じ種類のものを集めた「・・・は」型ものづくし、「・・・もの」型ものづくし、日記、随想と分けることができます。
作品が生まれた状況は、当時権勢を振るっていた藤原氏出身の定子の栄華盛衰と共にあります。
定子が一条天皇に入内し、清少納言が宮仕えをしていた約8年間が記されています。
②方丈記
(前田家本 出典:Wikipedia)
方丈記は随筆家・歌人の鴨長明が、1212年に執筆したとされている鎌倉時代の随筆です。
長明は賀茂御祖神社の神職の次男として1155年に誕生しました。歌人としては、新古今和歌集に10首の和歌が採用されています。
内容的は論理的で、長明の生涯に対する自己評論という説があります。
前半は長明の生涯に起こった予想外の出来事について記されていて、後半は厭世的に生きたことへの反省と肯定がつづられています。
全体を通して住宅への興味が強く、理想の庵によって長明の考え方が結実したとも言えます。
その他の特色としては、京都人の視点で社会に起こった出来事を捉えているとされています。
③徒然草
(徒然草の作者 吉田兼好 出典:Wikipedia)
徒然草は随筆家である吉田兼好の作品です。神職の家柄で1283年頃に生まれました。
鎌倉時代末期から南北朝時代に蔵人所の官吏として役職についていたこともあります。
作品の前半でつづられているのは宮廷内の仕事に従事していた頃のことで、後半は隠遁生活を送るようになってからの生活が語られています。
若き日の旺盛な欲求にあふれた時期、それとは反転して世俗を離れた時期、そして最後には再び現実を受け入れるようになった時期の兼好の思想が表現されています。
【三大随筆の覚え方】簡単!おすすめ語呂合わせ3選
三大随筆の語呂合わせ①
枕の上で平和に静止。ほう、鎌倉かも、つれー健康。
⇒枕(枕草子)の上で平(平安時代)和に静止(清少納言)。ほう(方丈記)、鎌倉(鎌倉時代)かも(鴨長明)、つれ(徒然草)ー健康(兼好法師)。
枕の上では平和にして健康を保ちたいです。
三大随筆の語呂合わせ②
方丈で澄明な、政商が真っ暗な中で、釣れて権衡で計る
⇒方丈(方丈記)で澄明(鴨長明)な政商(清少納言)が真っ暗(枕草子)な中で釣れて(徒然草)権衡(兼好法師)で計る
四畳半で明るい商人が暗い中で釣れたので天秤で計ります。
三大随筆の語呂合わせ③
長命で豊穣な、堅甲を着たツレ連れて、斉唱してもまくらない
⇒長命(鴨長明)で豊穣(方丈記)な堅甲(兼好法師)を着たツレ(徒然草)連れて、斉唱(清少納言)してもまくら(枕草子)ない
長生きで豊かな鎧を着た友達と歌っても追いまくったりしません。
以上、三大随筆の語呂合わせでした!